私が出会った霊媒師の方々の話をまとめると、共通点があり、霊媒師特有の能力や感覚は、ある程度は、誰でも習得できそうです。ただ、それには、代償がつきものです。
最初に揉めた霊媒師のおっさんは、人助けというよりは、私利私欲のために動き、その分、荒っぽい強さのようなものがありました。霊感商法による詐欺事件を起こしたことからも、このような人物像で間違いないと思います。
異常なほどお金に執着しており、夜も飲み歩き、女性にも手を出しそうな生臭坊主なタイプです。当時、有名な宗派に属しており、もしかすると事件後、破門になっているかもしれません。
その宗派で、毎年行われているか分からないのですが、希望者のみの厳しい修行を行い、寒い時期に滝に打たれ、藁(わら)を編んだ敷物に座り、お経を唱えるなどしたそうです。私は、修行の様子を動画で見せられた記憶があります。
この修行は、一度でも無事に終えられたら、一目置かれるようなものらしいのですが。それを何度も繰り返していることを自慢げに話していました。
宗派に属さず、自分自身で修行して、霊力を得たというケースもあります。それが、どのように行われるかなのですが、頭の中で声が聞こえるんだそうです。
その声が次第に強くなり、あれをしなさい、これをしなさいと指示するようになり、それに従って修行となるのですが。
私が聞いた話では、最初、家の中の階段をひたすら上り下りするよう言われ、それが、だんだんとエスカレートし、最後は、夜中にたたき起こされ、寒い中、山を登らされたと話していました。
真夜中、一人で山を登るというのが、非常に危険な行為のように感じたのですが。月明かりで周りが見え、何かに守られているという感覚はあったそうです。辛いものの、命の危険は感じたなかったとも話していました。
この頭の中から聞こえる声に、逆らうことができないらしく。細かい話は、覚えていないのですが、子供の病気だったか、不幸な状態から、その声に助けられたという話をしていました。そこで、強い結びつきができ、逆らえば何が起こるか分からないという感じです。
ここからは、私の勝手な想像なのですが。頭の中から別人の声が聞こえるところに、二重人格を連想させます。辛い状況から、もう一つの人格が生じ、それに、言葉が悪いかもしれませんが、操られているような、そんな印象です。
他にも似たような話はあるのですが。どちらの話も、命が危うくなるような修行を行うことで、感覚を研ぎ澄まし、わずかな変化も見逃さないような敏感な状態になり、それが、緊張を生み出すことで能力を発揮する、そんな風に見えました。
普通の人なら、気にもしないようなことにも反応し、想像が駆り立てられ、それが引き金になっているんだと思います。
想像の方向は、薄気味悪く、どんよりとした雰囲気に引き寄せられているように見えます。それは、その方向の方が想像が加速するというか、私情を挟む余地がないほど惹きつけられているからではないかと思うんです。
もしかすると、厳しい修行を経て、精神を鍛えるというのは、狂人にならないギリギリのところで踏みとどまるためなのかもしれません。
様々な話を聞いたところ、霊的な考えを持つことの代償として、周りに不幸が起こる可能性が高いようにも感じました。家族が不可解な怪我を負ったり、突然、配偶者が自殺したりというものです。
このような出来事があると、霊的な何かが憑りついたんじゃないかと考えそうですが。私は、価値観の違いが、大きなストレスになり、それが常態化することが原因のような気がします。
私が感じたことは、霊媒師の方々は、霊的なモードが都合よくオンオフできるものではなく、いつも何か得体の知れないものに巻き込まれているようです。これも、一線を越えなければ、このような状態にはならなかったんだと思います。
何かが見えたり、感じられたりしても、それに一生振り回されるなら、関わらない方が良いというのが、私の結論です。