奇妙な体験 2.余計なことは考えず、やり返すよりも受け流す

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前回の続きになるのですが。病気を治すためという1年間の祈祷を終えたあたりから、私の病状が目立って悪くなり、喘息の発作も増え始めます。

父と霊媒師の関係は、この1年は、なんとか保てたものの、預けたお金を返してもらうと、それきりになり、決別したような状態です。

家で妙なことが起こり始めるのは、この頃からなのですが。病状が良くなかったため、政治家や実業家が訪ねてくる有名な占い師のところへ行きました。

普通に考えると、病気なんだから、病院へ行くのが当たり前です。ところが、病院へ行かなかったのは、理由があります。

一つは、さんざん、あちらこちらの病院へ行っても改善できず、昼夜かまわず発作があり、その都度、病院へ運び込まれていました。そのため、病院が当てにならないと感じていたようです。

もう一つは、揉めたにしても、霊媒師のおっさんが、1年間、祈祷した際には、体調が良い方向へ進んでいました。他にも、いくつかの出来事があり、そこから、どうにかなるんじゃないかと期待していたようです。

私が、覚えているのは、霊媒師のおっさんが、私の家に来ていた頃、兄が学校から帰るなり、熱を出して寝込んだことがあるんです。兄は、私と正反対で体が丈夫なタイプです。

祈祷している最中、兄が帰宅して39度近い熱で倒れるように部屋で寝込みます。祈祷を終える頃には、熱が下がっていました。兄は、薬を飲んでおらず、ただ、寝ていただけです。

祈祷中、私は、おっさんの後ろに座るのですが。祈祷が途中で止まり、『….カゼガミに触れたものがいる』と独り言のように話した後、なんとなく、祈祷が、いつもの調子と違ったような気がしたんです。

おっさんは、玄関の音で、誰かが帰宅したというのは分かったかもしれませんが。兄と顔を合わせていないため、熱があることも知らないはずです。

祈祷を終え、出されたお茶を飲みつつ、母から兄が熱を出して寝ているという話を聞くなり、熱が下がっているからと様子を見に行くよう促されます。兄の熱が下がり、母が驚きの声を上げます。どんな感じか兄に聞いたところ、急にスーッと熱が引いたと話していました。

カゼガミとは、なんなのかなのですが。カゼガミは、このおっさんいわく、昔、辻斬りなどで死んだ人が、現在もさまよっており、それに触れてしまうと風邪のような症状になると説明していました。

それが、ホントかウソかは別にしても、熱で兄が寝込み、30分ほどで熱が平熱に戻れば、このおっさん、ただものじゃないとなります。他にも、なぜ、それが分かるのかと驚くようなことが、いくつかありました。共通して言えるのが、何か見えるというのではなく、何かを感じるというものでした。

そんなおっさんは、一度でも行えば、その筋の人に認められるという荒行を何度もしており、それを自慢していました。極限状態のようなことを繰り返すことで、何かが研ぎ澄まされたんだと思います。

占い師の先生は、高層ビルの最上階で占いをやっていて、和風の広い部屋で高級感があり、お手伝いさんのような方もいました。細い竹の棒を束ねては、一本引き、それを背中というか、服と首元の間に差し込み、また、混ぜては、1本引き、筮竹(ぜいちく)で占う人でした。

占ってもらったところ、私に呪いがかけられているというのです。そう言われて思い当たるのは、揉めた霊媒師のおっさんしかいません。

占い師の先生から妙な合わせ鏡を貰い、これを枕元に置くように言われます。これを実践したのですが、正直、あまり効果が感じられませんでした。

そこで、私も15歳で血気盛んだったのか、やり返さなければと思い、バスタブいっぱいの冷水を頭からかぶるようになります。冬だったこともあり、歯がカタカタと鳴るほど震え、股間が寒さでギューと痛くなるくらい縮んだことを覚えています。

再び、占い師の元へ行くと、どうも、私が、そういうことをしていることが分かったらしく、『火に油を注ぐようなものだから、やめなさい』となります。その時、私の念のようなものが、霊媒師のおっさんに間違いなく伝わっているというのです。

こうなると、冷水をかぶったことで変な能力が芽生えたのかと思われそうですが、そうではないです。これは、修行を積んだ霊媒師のおっさんが、感覚が研ぎ澄まされていて、非常に敏感なため、それを感じ取っていたと考えた方が腑に落ちます。

全くの素人が、バスタブいっぱいの冷水を頭からかぶっているのと、冬に山籠もりして、寒さに耐えながら、滝にうたれているのでは、レベルが違い過ぎます。

この時、初めて、霊媒師のおっさんが、家に来た際、なぜ、顔が半分青くなったのか、なんとなく分かった気がしました。恐らく、このおっさんに、誰かの念のようなものが飛んできていたようです。

だから、『頭が八つ裂き..』だの、『あいつだ』と口走っていたことと、辻褄が合います。我が家に来た頃も、他の誰かと揉めていたんだと思います。

この頃だったか、写経をするようにもなります。写経と言っても、上からなぞって書き写すような今風のもので、筆ペンで書いていました。占い師の先生からは、とにかく、やり返そうなどと考えず、受け流すようにと言われます。

次回は、あくまでも個人的な感想なのですが、呪いの印象、どんな感じだったのかをまとめたいと思います。

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