人間関係の悩みや対処法について、幅広く書かれているのが、下園壮太 著 『自衛隊メンタル教官が教える 人間関係の疲れをとる技術』という本です。
自衛隊でメンタルヘルス教官を務めたという著者が書いたのものなのですが。人間関係における我慢が、どれほど人に対してマイナスに働くかが分かるなど興味深い話が多いです。
『我慢をすると通常の3倍感情エネルギーを消耗する』という話があり。仕事を例に、上司から多くの仕事を指示され、資料をコピーするという簡単な作業でも、気分を害しているとエネルギーが多く奪われるとなります。
感情的な負担の程度を計算し、上司へのイライラした分で負担感が1、このイライラを我慢するため、同じ力でイライラを抑え、ここでも負担感が1となります。
さらに、コピー作業が終わっても、イライラと我慢は続くため、ここでも負担感が1になり、合わせて、3になります。作業量に加え、感情関連のエネルギーが、3倍消耗するとなります。
感情を抑えて我慢することが、良くないことなのは、漠然と感じていたのですが。具体的に数字で示されると、どれほど良くないことなのかが理解できます。
このような場合、自身の感情に対処するよう書かれており、中でも『感情を下げる』という方法が印象に残りました。
これは、注意を他の物に向けるなどして、追加の刺激を避け、緊張した体を緩めて、雰囲気やイメージをうまく使い、安心させるというものです。
コーヒーを飲む、チョコレートを食べるなど、何かあったら、それを思い出しているとあり。何をイメージしたら、自分が安心できるかを前もって考えておく必要がありそうです。
この他、対人関係で疲れたら、対人関係を改善しようとするのではなく、まずは自分の疲労を回復させるという話もあり、見落としがちなことのように感じました。
自信を身につける方法として、良かったこと3、悪かったこと1、改善点1というバランスが良いとあり、3(サ)、1(イ)、1(今後コー)で『サイコーの評価法』と紹介していました。
日本人の特性からも、良いことばかりは、自分に嘘をついている気がしてしまい、不安を原動力にして、改善に向かう時に一番自信を感じるとあり、このバランスが一番という話です。
人間関係の悩みを抱えている方が読んだら、対処法が分かるだけではなく、関連することが広く考えられるようになり、上手く悩みと向き合えるような、そんな本でした。