自己肯定感の大事さ、高める方法や損なわない方法が書かれているのが、川野泰周 著 『人生がうまくいく人の自己肯定感: 努力より、環境より、才能より大事なもの』という本です。
自己肯定感とは、自分を支える根源的な心の力であり、自分という存在が大切という絶対的な感覚とあります。
他人と比較して得られる自尊感情(優越感)は、一時的なものであり、これは、自己肯定感とは違うものと書かれています。
この本には、自己肯定感を高めることは、何歳からでもできるとあるのですが。自己肯定感を高め、その状態を保つためには、考え方や対処法を身に付ける必要があり、それが具体的に示されています。
自己肯定感を低下させるものとして、後悔や不安を挙げており、それらは、どうにもならないことなため、放っておくとあるのですが。
これについては、他の自己肯定感の本でも読んだことがあります。ただ、この本では、過去を例に、過去を無視するという意味ではなく、かけがえのない経験として、事実は事実として率直に受け容れるとあります。
過去の出来事を客観的に捉えて、それに関する感情を呼び起こすのではなく、事実として、率直に受け容れるということのようです。
どうにもならないことに意識を向けるのではなく、今、目の前にある一つのことに集中することが、大事と説きます。
自分の怒りをコントロールする方法として、『三段階分析法』が書かれており、これも興味深いです。
自分が怒った時に、『思考』として、どのように考えたから怒っているのか、次に『感情』として、悔しいや許せないなど、どんな感情を抱いているかを理解し、『感覚』として、怒っている自分の状態、鼓動が速くなっているか、身体が熱っぽいか、足が地に着いた感じがしないかに意識を向けるとあります。
怒った時に、思考、感情、感覚の3段階を分析し、最後は、深呼吸。これで怒っている自分を客観視でき、怒りに振り回される状態から抜け出せると書かれています。
この話につながることに、相手の感情は無視し、話している言葉だけを頭の中で文章化するという話もあります。話す相手の表情や語気などがあることで、怒りを感じるため、それらを無視するというものです。
この他、人は、不快に感じた言葉ばかりを覚えているため、うれしかった言葉、自分を肯定してくれた言葉を思い出すことが、自己肯定できていた自分にあらためて出会えるとも書かれていました。
自分に自信が持てない方、自己肯定感が低いと感じている方が読んだら、自己肯定感へのイメージが変わり、思ったよりも簡単に高められそうだと感じるかもしれません。
個人的には、いろいろ気づかされることが多い本でした。