誰もが持っている想像力を引き出し、もっと自由に考え、成功の秘訣を説くのが、スタンフォード大学教授 デイヴィッド・ケリー , デザイン会社 IDEO共同経営者 トム・ケリー 著『クリエイティブ・マインドセット 想像力・好奇心・勇気が目覚める驚異の思考法』という本です。
この本の内容は、示唆に富んでいて、頭の中で想像する想像力、想像したアイディアをカタチにする創造力について、具体的な例を次々と紹介し、考え方のイメージが変わるようなものです。
本の書き方としては、堅苦しいものではなく、著者の明るい個性が感じられ、読みやすいものでした。しかも、誰もが知るような有名企業の話が多く、言葉に説得力があります。
この本の中で、アンケートの話として、日本以外の国では、世界で最もクリエイティブなのは日本と答える人が圧倒的に多いとあります。それに対して、日本人は、自分達がクリエイティブではないと感じているというのです。
確かに、想像力がないと感じてる人が多いような気がします。これは、想像力がないのではなく、自分自身で無意識に、想像できない状態に追い込んでいるからかもしれません。
大人になればなるほど、現実的に考えることが良いことと思い込み、実現できるかどうかに囚われ過ぎたり、突拍子もないことを口にすれば、周りから白い目で見られる恐れもあります。
この本は、その怖さや恥かしさを乗り越える切っ掛けを与え、誰にでも想像力があり、少し背中を押せば、大きく変わることが分かります。
内容としては、創造性に溢れたモノ作りに焦点を当て、その分野に精通した専門家では、無理だと思われていたものが、専門的な知識がないからこそ、斬新なアイディアで実現できたり、全く違うアプローチで利便性を向上できたり、実例を挙げて紹介しています。
アメリカの作家 マーク・トウェインが語った『トラブルを招くのは、知らないことではない。知っていると思いこんでいて、実際には知らないことだ』という言葉もあり、これが物事を上手く言い当ててているように感じます。
大人になると、様々な過去の経験がある分、それを踏まえて、無難にやろうと考えがちになります。良く言えば、慎重なのですが、悪く言えば、新しい事への抵抗があり、臆病な状態です。
子供の頃のように、誰に気兼ねすることなく、思い付いたことをストレートに表現することが、創造力の豊かさにもなり、それが、自由で自然なのかもしれない。
自信というのも、あると思えばあり、無いと思えばなく、はっきりした理由はないため、自分で勝手に決められるようなものです。それなら、自分の考えに自信を持ち、やれると思った方が、好奇心にもつながり、人生は楽しくなります。
この本を読んていると、自分自身の可能性が感じられ、アイディアが思いつき、現状を変えられるという気持ちにもなります。
日々の生活の中で、追い詰められて窮屈に感じたり、ストレスを多く抱えている方なら、発想が自由になり、活気が芽生えそうな、そんな本でした。