暴走する心の声に振り回されず、上手く付き合う方法を説くのが、イーサン・クロス 著 『Chatter(チャッター)―「頭の中のひとりごと」をコントロールし、最良の行動を導くための26の方法』という本です。
この本では、頭の中のひとりごとを『チャッター』と呼んでいるのですが。個人的には、『心の声』とした方が、分かりやすい気がします。
『心の声』は、時に暴走し、それにより思考が過剰になり、集中力の低下やストレスを引き起こし、正常な判断ができなくなると説明しています。
この本では、この『心の声』に無条件で従うのではなく、どのように距離を置き、その悪影響を抑えるかというのが、主な内容になります。
様々なやり方を紹介しているのですが。『心の声』が不安を駆り立てようとした時には、自分のこととして捉えるのではなく、他人事として捉えるとあります。
例として、2015年に行われた研究を紹介し、自分が浮気されていると考えるか、友人が浮気されていると考えるかでは、物事に対する距離感が変わります。距離ができることで、考える余地が生まれ、冷静に対処できるという話です。
この他、困難に遭遇した時に、10年後、これについて、どう感じるか想像するというのも、興味深く。10年という時の長さを意識することで、現在の困難は、一時的な経験と理解し、希望が持てるというのです。
『心の声』との距離の置き方とは別に、信頼している知人からの何気ないボディータッチが人を幸せにしたり、人が行き交う街の中よりも自然の中を散歩した方が、良い結果が得られるなど、そんな話もありました。
『心の声』が、自分自身に問題を投げかけることで、考える機会を与え、学んだり理解を深めたり、役立つこともあるのですが。これが、暴走した際には、悪い方向へ自分を扇動するため、冷静に対処する必要があるというのもうなずけます。
この本を読むと、『心の声=自分の本音』と考えていたことに気づき、暴走することもあるため、必ずしも自分の味方ではないと思えるようになりました。
自分を責めたり、自身の行動を悔やんだり、過去の辛い出来事を何度も繰り返し悩むことが多い方は、読んでみる価値があると思います。
悩みの切っ掛けを与える『心の声』が、勝手に言ってるだけと思えたら、悩むことが大幅に減り、もっと活気ある人生になるはずです。