『シェンムーIII』を初プレイして感じたこと
―― 時間が流れる世界観と、丁寧すぎる日常描写に引き込まれる
『シェンムー』は、1999年にドリームキャストで発売されたアクションアドベンチャーゲームで、「オープンワールドの元祖」と語られることも多い作品です。
シリーズは『シェンムー』(1999年)、『シェンムーⅡ』(2001年)へと続き、長い時を経て本作『シェンムーIII』が登場しました。
2018年には『シェンムー I&II』がPS4でリリースされ、2019年に『シェンムーIII』がPS4/PC向けに発売。
さらに、2022年にはアニメ化(『Shenmue the Animation』)も実現し、シリーズは再び注目を集めています。
初心者でも分かる「昔のゲームらしさ」と新鮮さ
本シリーズは今回が初プレイでしたが、どこか懐かしい“昔のゲーム感”が随所にあり、ドリームキャスト時代からの思想が色濃く受け継がれている印象です。
序盤はテンポよく進むタイプのゲームではなく、正直なところ最初の印象はやや地味。
しかし、プレイを続けるうちにゲーム内で時間が流れる独特の設計や異様なほど作り込まれた細部に気づき、じわじわと引き込まれていきます。
画面右上にはアナログ時計が表示され、デジタルではない演出が世界観とよくマッチ。
謎解きをしながら一日を過ごし、夕方になると家に帰る――そんな“生活感”のある進行が新鮮で、のんびりとした空気を楽しめます。
記憶に残るキャラクターデザイン
登場人物は、メインキャラだけでなく脇役まで顔のクセが強く、印象に残りやすいのが特徴です。
多くのゲームでは、モブキャラは無難なデザインになりがちですが、『シェンムーIII』では誰もが個性を持っており、自然とキャラクターを覚えられます。
主人公はヒロインと共同生活しており、帰宅すると料理を作ってくれていたり、外出時に見送ってくれたりと、和やかな日常が描かれます。
家具の引き出しを開けられる、家を出る際に靴を履く演出があるなど、細部へのこだわりから制作陣の情熱が伝わってきます。
拳法トレーニングが“実体験”になるシステム
主人公は拳法の使い手で、村には道場があり、トレーニングや模擬戦が可能です。
オンライン対戦ではなく、あくまでシングルプレイ用の要素ですが、これが非常に奥深い。
技はボタンの組み合わせとタイミングで繰り出すため操作はやや複雑。
しかし、道場での反復練習により自然と身につく設計になっています。
単にステータスが上がるだけでなく、プレイヤー自身の操作スキルが鍛えられるため、実際に修行しているような感覚を味わえるのが魅力です。
技の種類も豊富で、トレーニング自体が一つの楽しみになっています。
寄り道が楽しい、レトロな遊び場
作中には、龍が如くシリーズのようにゲームセンターも登場。
レトロな筐体が並び、温泉街の一角にあるような落ち着いた雰囲気で、つい立ち寄りたくなります。
ミニゲームや小さな遊びが多く、本編そっちのけで寄り道してしまうこともしばしば。
物語は未完でも、納得できる終わり方
寄り道を楽しみつつ、いよいよ本編を進めようと思った矢先、意外と早く「次へ続く」という形でエンディングを迎えました。
『シェンムーIII』はシリーズ第3作ですが、物語は未完。
しかし、ひとつの区切りとしては納得感があり、個人的には大きな不満はありませんでした。
時間が流れる世界で、生活を“体験”するゲーム。
派手さはないものの、丁寧に作り込まれた日常と修行、寄り道要素が好きな人には、じっくり味わえる一本です。



