10年ほど前に二世帯住宅に建て替えてから、
24時間換気システムを利用しています。
ただ、換気システムのファンが回っていることは分かっても、
「実際にどのくらい換気できているの?」
というところまでは、なかなか分かりません。
普段は窓を閉めていることが多いため、家族の中でも
「本当にこれで十分に換気できているのかな?」
という疑問はありました。

そこで購入したのが、室内の二酸化炭素濃度を測る
二酸化炭素濃度計(CO₂濃度計)です。
実際に使ってみると、思っていた以上に数値がよく動きます。
人がいるだけでも少しずつ上がり、
窓を開ければ今度はどんどん下がっていく。
CO₂濃度の変化をかなり細かく捉えているようで、
見ているだけでも室内の空気がどう変化しているのか分かります。
窓を開けるとCO₂濃度がどんどん下がった

最初に驚いたのが、窓を開けたときの変化です。
私の部屋でCO₂濃度を測りながら、
まず北側の窓を20cmほど開けてみました。
すると少しずつ数値が低下。
さらに反対側にある東側の窓も20cmほど開けると、
一気に換気が進み、

1分ほどで700ppm前後まで下がり、

3分ほどで560ppm前後、

10分後には400ppm程度まで下がりました。
窓を開ければ換気できる。
当たり前といえば当たり前なのですが、
実際に数字が下がっていくところを見ると、
「今、本当に部屋の空気が入れ替わっているんだ」
と実感できます。
しかも、一方向の窓だけを開けた場合と、
二方向の窓を開けた場合では、CO₂濃度の下がり方にも
大きな違いがありました。
「窓を開けたから換気できたはず」ではなく、
「この開け方なら、これくらい換気できる」
と数字で確認できるところが、CO₂濃度計の便利なところです。
窓を閉め切っていると1000ppm前後まで上昇
反対に、窓やドアを閉めた状態で私一人が部屋にいると、
CO₂濃度は徐々に上がっていきました。
あるときは、換気後から30分で654ppm、
1時間後には720ppm、1時間30分後には811ppm、
2時間後には999ppmまで上昇。
寝ている間も、1000ppm前後を行ったり来たりしていました。
ところが、私が部屋から出ると少しずつ濃度が低下します。
30分ほど部屋を空けただけでも900ppm程度まで下がることがあり、
さらに長く無人にしておけば、もっと低くなります。
この動きを何度か確認できたことで、
我が家の24時間換気システムも、きちんと働いているようだと分かりました。
今まで目に見えなかった換気システムの働きを
CO₂という数字で確認できたわけです。
一条工務店の24時間換気は「弱」でも換気できている?

我が家は一条工務店の家で、
24時間換気システムを使用しています。
一条工務店では、高気密・高断熱の住宅で計画的に換気するため、
24時間稼働する全館換気システムが採用されています。
我が家でも普段から24時間換気を動かしているのですが、
設定は「弱」。
そのため以前から、
「弱運転でも、本当に十分な換気ができているのかな?」
という疑問がありました。

ファンが動いていることは分かっても、
空気がどのくらい入れ替わっているのかは目で見ることができません。
そこでCO₂濃度計を使って、実際の数値の変化を確認してみました。
私の部屋では、窓やドアを閉めて長時間過ごしていると、
CO₂濃度は1000ppm前後まで上昇します。
ところが、部屋から人がいなくなると、
窓を開けなくても少しずつ数値が低下しました。
あるとき、CO₂濃度を測ったところ、
疲れて午後8時に就寝 999ppm
午後10時にトイレに行く 1093ppm
午前3時16分に目が覚める 1059ppm
午前3時30分から3時50分まで入浴のため部屋を離れる 976ppm
午前5時から6時30分までリビングにおり部屋を離れる 852ppm。
別の日にも、人がいる間は1000ppm前後を行ったり来たりしていたのに、
20分ほど部屋を空けると950ppm程度まで低下しています。
窓を開けていないにもかかわらず、
人がいなくなるとCO₂濃度が徐々に下がっていく。
これは、少なくとも我が家では、
24時間換気によって室内の空気が継続的に入れ替わっていること
を示す動きと考えられます。
一条工務店では、24時間全館換気システムによって、
窓を開けなくても家全体の空気を循環させる仕組みを採用しています。
実際にCO₂濃度を測ってみると、
その働きを数字として確認することができました。
もちろん、今回確認できたのは我が家の環境での結果です。
住宅の間取りや人数、換気設備の種類、
フィルターの状態などによっても結果は変わるため、
「一条工務店なら弱運転で十分」と一般化することはできません。
それでも、少なくとも我が家では、普段使用している「弱」のままでも、
CO₂濃度が際限なく上昇するわけではなく、
人がいなくなれば徐々に低下していました。
長年なんとなく気になっていた
「弱運転でも本当に換気できているの?」という疑問に、
CO₂濃度計を使うことで一つの答えを出すことができました。
ドアを開けるだけでもCO₂濃度が下がった
もう一つ意外だったのが、窓を開けなくても、
部屋のドアを開けておくだけでCO₂濃度がかなり下がったことです。
閉め切った状態では1000ppm近くになっていた部屋でも、
私が部屋を離れるときにドアを開けっぱなしにしておくと、
640ppm程度まで低下しました。
夜は虫や防犯のこともあり、窓を大きく開けにくいことがあります。
そんなときでも、ドアを開けて家の中の空気を循環させるだけで、
換気を補助できる場合があることが分かりました。
これもCO₂濃度計がなければ、
「ドアを開けるだけで意味があるのかな?」で終わっていたと思います。
二酸化炭素濃度が高くなると、体にはどんな変化がある?
CO₂濃度計を使っていると、
「では、CO₂濃度が高くなると、人にはどんな影響があるの?」
というところも気になります。
人が過ごしている室内では、
呼吸によってCO₂濃度が少しずつ上昇します。
一般的な住宅や教室で見られる程度のCO₂濃度では、
すぐに酸欠になるようなものではありません。
一方で、換気が不十分な室内環境では、
眠気や頭がぼんやりする感じ、
集中しにくさなどを感じることがあります。
研究でも、室内のCO₂濃度と認知機能や集中力との関係は調べられています。
ただし、CO₂そのものの影響だけでなく、
換気不足によって室内に蓄積する他の物質などの影響も考えられるため、
「○○ppmを超えたら必ず思考力が低下する」
と単純に判断できるものではありません。
そのため家庭でCO₂濃度計を使う場合も、
「1000ppmを超えたから危険」と考えるより、
「いつもより高くなってきたから、そろそろ空気を入れ替えよう」
という換気の目安として使うのが分かりやすそうです。
実際に使ってみると、窓を開けてCO₂濃度が下がったときには、
空気が入れ替わったことを数字でも確認できます。
今までなら
「なんとなく空気がこもっている気がする」で終わっていたところを
CO₂濃度という客観的な数字を見ながら換気できる。
これも、CO₂濃度計を使ってみて便利だと感じたところでした。
学校でもCO₂濃度が換気の目安になっている
CO₂濃度を換気の目安として利用する考え方は、
家庭だけのものではありません。
文部科学省の「学校環境衛生基準」では、
教室などの換気について、二酸化炭素濃度は1500ppm以下
であることが望ましいとされています。
この1500ppmという数値は、
「1500ppmを超えたらCO₂そのものが直ちに危険」
という意味ではありません。
人が集まった室内では、呼吸によってCO₂が増えていきます。
そのため、CO₂濃度を室内の空気が十分に入れ替わっているか
を判断するための指標として利用しています。
新型コロナウイルスの感染拡大時には、
学校でも換気が特に重視され、
文部科学省は、気候などに応じて可能な範囲で1000ppm相当の換気に
取り組むことが望ましいとする考え方も示していました。
CO₂濃度を測っておけば、
「そろそろ換気したほうがいい」と数字から判断できます。
教室のように大勢の人が長時間過ごす場所では、
感染症対策だけでなく、普段から学びやすい室内環境を維持するためにも
役立ちそうです。
家庭で1000ppmを一つの目安にする考え方も
厚生労働省も、必要な換気量が確保されているかを確認する方法として、
CO₂濃度計を使い、室内が1000ppmを超えていないか
確認する方法を紹介しています。
ただし、1000ppmを少し超えたら直ちに健康被害が発生する
という意味ではありません。
CO₂濃度は、あくまで換気状態を知るための分かりやすい指標の一つ。
私自身も使ってみて、1000ppmを大きく超えてきたら、
「少しドアを開けよう」「窓を開けて空気を入れ替えよう」
と考える目安として使うのが分かりやすいと感じました。
NDIR方式はCO₂を赤外線で測定する
今回使っているCO₂濃度計には、
NDIR方式のセンサーが採用されています。
NDIRとは「非分散型赤外線吸収法」のことで、
CO₂が特定の波長の赤外線を吸収する性質を利用して、
その濃度を測定する方式です。
実際に使ってみても反応はかなり敏感でした。
人がいない部屋から私の部屋へCO₂濃度計を持ってくると
短時間で数値が上昇し、窓を開ければ数分単位で数値が低下します。
試しに息を直接吹きかけると、
一気に5000ppm付近まで急上昇します。
もちろん、こうした反応の速さだけで
測定値の絶対的な精度まで証明できるわけではありません。
それでも、人がいる、いない、窓を開ける、ドアを開ける
といった環境の変化に応じて数値が素早く変わるので
日常的な換気状態を確認するには非常に使いやすいと感じました。
二酸化炭素濃度計の精度はどうやって確認する?
CO₂濃度計は、安価なものから高価なものまで
さまざまな製品が販売されています。
そこで気になるのが、
「表示されているCO₂濃度は本当に正しいの?」
というところです。
家庭で測定器そのものの精度を厳密に確認するには、
校正された基準器などとの比較が必要になるため、
簡単ではありません。
ただし、表示されている数値が
妥当そうかを確認する方法はいくつかあります。
まず確認したいのが、
CO₂そのものを測定できるNDIR方式を採用しているかどうかです。
安価な製品の中には、別のセンサーからCO₂濃度を推定する
「eCO₂」を表示するものもあります。
次に、屋外の新鮮な空気の中で測定してみます。
屋外のCO₂濃度は一般に400ppm台なので、
十分に外気に馴染ませても大きく離れた数値を示す場合には、
校正状態などを確認したほうがよさそうです。
さらに、室内へ戻して人が過ごすと徐々に数値が上がり、
窓を開けて換気すると再び下がるかを確認します。
私が使っているCO₂濃度計では、人がいる部屋では数値が上昇し、
窓を二方向に開けると数分で大きく低下しました。
また、息を直接吹きかけると一気に高い数値を示します。
こうした反応だけで測定精度を証明することはできませんが、
「周囲のCO₂濃度の変化にきちんと反応しているか」
を確認する材料にはなります。
また、NDIR方式であっても長期間使用すれば測定値がずれる可能性があるため、
メーカーが指定する方法で定期的に校正することも大切です。
※校正とは、測定器が正しい数値を示しているか、基準と比べて確かめることです。
例えば、CO₂濃度計なら、屋外の新鮮な空気の中に一定時間置き、
基準となるCO₂濃度と比べて数値のズレを確認・調整します。
二酸化炭素濃度計は置く場所にも注意
CO₂濃度計は、どこに置いても同じように測れるわけではありません。
厚生労働省では、
CO₂濃度計を使用する際には、ドアや窓、換気口から離し、
人からも少なくとも50cm離れた場所に設置するよう案内しています。
人の呼気には高濃度のCO₂が含まれているため、
顔のすぐ近くに置けば、
部屋全体のCO₂濃度より高い数値が表示される可能性があります。
我が家でも、普段は人から50cm以上離れたところに置いています。
NDIR方式でも、ときどき校正して確認したい
NDIR方式は便利ですが、測定器を長く使用していると、
センサーの測定値にずれが生じる可能性があります。
厚生労働省もNDIRセンサーについて、
扱いやすい方式としたうえで、
定期的に校正された測定器を使用することを勧めています。
校正されているか分からない場合には、
屋外で測定して、外気のCO₂濃度に近い値になるか
確認する方法も紹介されています。

そこで私も、説明書を見ながら、
一度、CO₂濃度計を屋外へ10分ほど出して手動校正してみました。

その後、いつもの部屋へ戻して測定すると、
換気していない状態で約1025ppm。
校正する前に測っていた数値とほとんど変わりませんでした。
これで絶対的な精度まで証明できるわけではありませんが、
少なくとも、それまでの測定値が
大きくずれていた可能性は低そうだと確認できました。
毎日のように校正する必要はなさそうですが、
ときどき屋外で確認しておけば、
より安心して数値を参考にできそうです。
CO₂濃度計があると「換気したつもり」で終わらない
実際にCO₂濃度計を使ってみて、
一番便利だと感じたのは、
換気という目に見えないものを数字で確認できることでした。
窓を開けた。
ドアを開けた。
24時間換気を動かしている。
これまでは、それで
「たぶん換気できているだろう」
と考えるしかありませんでした。
ところがCO₂濃度計があれば、
本当に濃度が下がったのか、その場で確認できます。
我が家では、24時間換気が正常らしいことも分かりましたし、
一方向の窓を開けるより二方向を開けたほうが圧倒的に換気が速いこと
ドアを開けておくだけでも効果があることが分かりました。
最初は、購入するかどうか迷い
「CO₂濃度を測るためだけに、6000円ほど出して測定器を買う必要があるかな?」
とも思いました。
ところが実際に使ってみると、
今まで感覚でしか分からなかったものが、
次々と数字になって見えてきます。
「なんとなく空気がこもっている気がする」ではなく
「今は1000ppmを超えているから少し換気しよう」
と判断できる。
CO₂濃度計は、室内の換気状態を知るための、
思っていた以上に実用的な測定器でした。
